雨の恋路
「あっ!!ひかるぅ~!?」
下駄箱に着いた瞬間、あたしが今1番聞きたくはなかった甘ったるい声が耳に入る。
「ちょっと遅いんじゃないのぉ?美穂待ってたのに…って……何ソレ」
美穂って人は、光の後ろにいるあたしを見つけると、今までの甘い声とは打って変わって豹変し、あたしを睨みつける。
「その子とは別れたんでしょ?何今更また手なんて握ってるわけ?光は美穂の彼氏!なんだけど?いい加減その手…離してくんない?」
ビクッ-!
こ、怖い……。
この人、あたしが嫌いなんだ。
一応、あたしは光の元カノ。
当たり前だよね…
そうだよ、
光には彼女がいるんだ。
駄目だよ…駄目だよ、光……
いつの間にか握り返していた
光の手からゆっくりと手を離す。
…いや、正確には離そうとした。
あたしの手は、
光に握り締められたまま。
離そうとするあたしの手を、光が逃がさない様にと強く握り締めてきたから。
「ひ、ひかる…っ…」
「黙ってて」
「ちょっと…いい加減に…「ごめん」
「……ぇ?」