雨の恋路
「悪かった」
「ちょ、何言ってんの?意味…分かんないんだけど」
「俺と、別れてくれ」
…光…!?
な、何言って…
「はっ?じょ、冗談でしょ?」
「冗談じゃない。俺、やっぱり今でも雨美が好きだ」
繋いだ手に力がこもる。
反射的に、あたしも握り返した。
「正直、あの時の俺はボロボロだった。だから、誰でも良かったんだ。それが美穂だっただけで…」
「……そう」
「ごめん」
光はそう言って深く頭を下げる。
美穂さんは、微かに震えていた。
「知ってたわよ、そんなこと…」
「ごめん」
「もう謝らないでよ!あたしが馬鹿みたいでしょ!」
「………。」
「もう良いよ。あたしも遊びだったし気にしないでよね!」
そう言って怒ったように笑った美穂さんに、笑顔はなかった。