雨の恋路
-UMI-
どの位走ったか分からない。
分かるのは、光の手の暖かさ。
それと…-
今歩いてるこの道。
あたしは、この道を知ってる。
そしてこの先にあるのは…光の家。
まさか光の家に?
どうしよう…。
もう逃げられない。
ううん、違う。
逃げちゃいけないんだ。
光のことを本気で好きだった美穂さんのためにも、あたしのためにチャンスを作ってくれた圭吾の為にも。
あたしは逃げちゃいけない。
もう、覚悟を決めるしかない。
今度こそ……本当に。
大丈夫…大丈夫……
自分自身にそう言い聞かせる。
光、あたしもう逃げないよ?
ちゃんと…言うから。
だから、聞いて下さい。
繋いだ手に、
そっと力を込める。
優しく握り返してくれたのは、
きっと気のせいなんかじゃない。