雨の恋路

バタン―


……着いちゃった。


あれから何も話すことなく光の家に着き、そのまま部屋へと連れられた。



「座って」


「…うん」


見慣れた光の部屋。
何も変わってない。

光の部屋に来るといつも座ってたその場所の横には、光があたしのために買ってくれたクッションが置いてある。



まだ、置いててくれたんだ…


表情には出さなかったけど、
本当は凄く嬉しくて……。


そっと、その場所に座った。




光はというと、
ドアの前に立ったまま。


そんな光に、
心の中で声を掛ける。



『大丈夫だよ。
もう、逃げないから』



組んだ手に、
ぎゅっと力を込めた。





「あたしね、光……」



ゆっくりと顔を上げ、
光を見つめる。

絡まる視線に、
もう恐れはない。



「レイプされたの」


< 264 / 278 >

この作品をシェア

pagetop