雨の恋路

空気が……凍った気がした。


光の目が大きく見開き、
体が震え出す。


そんな光を見て、
心が凄く痛んだ。



「ごめん……、ごめっ…んね」



「……っんで…-!」



「ごめんなさっ…-」



溢れ出る涙が止められないまま、
あたしは暖かい何かに包まれた。



それは紛れも無い光の腕の中で。
あたしが一番求めてたもので。


何度も何度も夢に見た。

光にもう一度抱きしめられることを。




「なんでっ……な、っんで…」



光が泣いてる……?


そうだ。
辛いのはあたしだけじゃない。

光も、同じ。



光は強く、強くあたしを抱きしめた。そんな光の背にそっと腕を回す。


さっきよりも、
ずっと近くに光を感じる。


光が……いる。
あたしの傍にいるの。


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