雨の恋路
「何で……言わなかった…っ」
「ひか……」
「何で何も言わなかった!」
光の叫び声が、
部屋に木霊する。
光が……怒ってる。
「そんなに……俺は頼りないのか…?」
「ちがっ…!」
違うよ、光!
そうじゃない……
そうじゃないのに…-
「離れたくない?お願いだから?」
「ひかる……?」
「笑わせんじゃねーよ」
「ひか…っ!」
目の前にいる光が、
自嘲気味に笑う。
もう無理なの?
あたし、遅すぎたのかな……
そうだよね…。
あたしの…我が儘だ。
「……ごめんなさい。帰ります。今日言ったことは……忘れて」
辛くない、辛くない。
泣いちゃ……駄目だ。
精一杯笑顔を作り、
そう言って笑った。
立ち上がり扉へと向かうと、
光が道を開けてくれた。
もう……これで本当に終わりなんだ。
さよなら、光。