雨の恋路

「っんとに…笑わせんじゃねーよ」


「…え!?」


光の呟くような低い声。
引っ張られる、あたしの腕。


そのまま振り向かされ、
ドアに押し付けられた。

腕は顔の横に拘束され、
目の前には光の顔。



「ひかる…っ?」


「もう、黙れよ」


「なに言っ…んっ!?」



何が起こってるの?



あたし今……、
光にキスされてる?



貪るような激しいキス。

息をしようとした瞬間に
入り込んだ光の舌。


訳が分からなくて。
だけど、涙が出た。


光のキスが、
優しかったから。



激しくて、息が出来なくて。
だけど、凄く優しい光のキス。



拘束されてた腕は放されたけど、拒むことはない。



キスの合間、
光と視線が絡み合う。



光の目が…優しく笑った気がした。



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