雨の恋路

「ひか…ひかる…ッ」


「……うん」


ただ嬉しくて、嬉しくて。

涙が出て、
光の胸を濡らして行く。


光はあたしの背中や頭を撫で、
優しく、だけど強く抱きしめてくれた。



もう、離れない…。
我が儘でも何でも良い。

あたしは、光の傍にいたい…



「ひかる?」


「なに?」


「……好き」


そう言って、
ぎゅっと光の背中を抱きしめる。



「うん…俺も。雨美が、好きだ」



そう言って笑った光の顔は、
あたしの大好きな笑顔で……

ずっと見たかった笑顔だった。



あたしに起こった出来事は、
絶対忘れることは出来ないと思う。


『出来事』って言葉では簡単に言い表せなくて……




だけど、それでも……光と一緒なら乗り越えていけると思うから。



あたしは、前を向こうと思う。
あたしの傍には…光るがいるから。


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