雨の恋路

放課後、さっきまで晴れてた天気は一変。雨に変わった。


「雨だね、光」


「そうだな」


「傘、ある?」


「あるよ。雨美は?」


「あるよ、折り畳み」


「ささねぇの?」


いつしか聞いたことのある会話。
あたし達の出逢った日に-



「ささないよ」

ニコッと笑って返す。


「濡れていたい気分だから?」


そう言って笑った光に、
笑顔で首を横に振る。


「一緒に入りたいから!」


あの時とは違う、
差さない理由。


「帰るか!」


「うん!」


手を繋いで1つの傘に二人で入る。
肩が少し濡れたって関係ない。

隣に光がいる。
それだけで幸せだから…-



あの時、雨が降っていなかったら。

光はあたしに話しかける必要は無かったし、そもそも出逢ってなかったかもしれない。


だから、雨が好き。濡れたって良い。

光と出会わせてくれてありがとう。




光の家に着く頃には雨は上がっていて、
あの時のような綺麗な虹が空に架かっていた。





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