雨の恋路

光の部屋に着いたあたしは、何も言わずベッドに腰をおろした。





「飲みもん何か持ってくるな?」









「嫌だ…っ!」





あたしの思わぬ言葉に、光は目を丸くした。




そりゃあそうだよね。飲み物とってくるのに嫌だなんて……。



-でも……でも嫌だった。
光とあの人が会うと思うと。
あたしが見てないところで仲良く笑いあう2人の姿を想像すると……。










「あっ……、その…光と少しでも一緒にいたいなって……」






やばい!
こんな言い訳すぐにバレちゃうよ……。


どうしよう……。








しかし光は、ニコッと笑うとあたしの隣に腰をおろした。





「俺も雨美と一緒にいたい」












涙が出そうだった。
この幸せを壊したくない…っ。






そう思うのに、一度現れた不安は簡単には消えてくれなくて……。



それでも咲希さんとの関係を聞けないあたしは、なんて弱虫なんだろう…―。
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