ロストマーブルズ
この日は昼までに授業が終わり、いつもならジョーイはトニーとどこかで腹ごしらえするのだが、トニーは理由も告げずに一人でどこかへ行ってしまった。
英語教師の白鷺眞子絡みの野暮な用事にも思えたが、理由を言わずにプイと去っていくのは、珍しかった。
やはりトニーも自分に対して、気に入らない態度を示しているのが伝わってくる。
「勝手にしろ」
ジョーイもそんな態度を取るトニーに、またモヤモヤしてしまった。
いつもなら笑って受け流し、常に折れてジョーイを立てては機嫌を取ってくるだけに、トニーの反抗は堪えるものがあった。
自分もそれに甘えすぎて、トニーの事をおろそかに扱っていたことに少なからずとも気がついた。
シアーズにも態度が悪いと言われるが、トニーも我慢の限界にきているのかもしれない。
ジョーイはそれでも悔い改めることなく、意地を張って、売られた喧嘩を買うようにふてぶてしく教室から出て行った。
「腹減った」
ジョーイがお腹を押さえ、校門を出ようとしたときだった。
「ジョーイ」と後ろから呼ぶものがいた。
振り返ればそこにキノが立っている。
「キノ!」
思わず名前を呼ぶが、不意をつかれてジョーイはまた慌てふためいた。
どちらも気まずく、その後の言葉が掛けにくかった。
「あ、あの」
キノが話し出すと、ジョーイは緊張のあまり喉の奥から声が反射した。
「昨日はその、誘ってくれたのに会えなくてごめんなさい。あの、用事があって来れなかったんです」
「いや、俺もそのちょっと用事ができてかなり遅れてしまって、てっきりもう先に帰ったかと思って」
また二人は黙ってしまった。
英語教師の白鷺眞子絡みの野暮な用事にも思えたが、理由を言わずにプイと去っていくのは、珍しかった。
やはりトニーも自分に対して、気に入らない態度を示しているのが伝わってくる。
「勝手にしろ」
ジョーイもそんな態度を取るトニーに、またモヤモヤしてしまった。
いつもなら笑って受け流し、常に折れてジョーイを立てては機嫌を取ってくるだけに、トニーの反抗は堪えるものがあった。
自分もそれに甘えすぎて、トニーの事をおろそかに扱っていたことに少なからずとも気がついた。
シアーズにも態度が悪いと言われるが、トニーも我慢の限界にきているのかもしれない。
ジョーイはそれでも悔い改めることなく、意地を張って、売られた喧嘩を買うようにふてぶてしく教室から出て行った。
「腹減った」
ジョーイがお腹を押さえ、校門を出ようとしたときだった。
「ジョーイ」と後ろから呼ぶものがいた。
振り返ればそこにキノが立っている。
「キノ!」
思わず名前を呼ぶが、不意をつかれてジョーイはまた慌てふためいた。
どちらも気まずく、その後の言葉が掛けにくかった。
「あ、あの」
キノが話し出すと、ジョーイは緊張のあまり喉の奥から声が反射した。
「昨日はその、誘ってくれたのに会えなくてごめんなさい。あの、用事があって来れなかったんです」
「いや、俺もそのちょっと用事ができてかなり遅れてしまって、てっきりもう先に帰ったかと思って」
また二人は黙ってしまった。