ロストマーブルズ
改札口を出て、賑やかな町のショッピングセンターに続く連絡橋を歩く。
キノとはここでお別れだった。
ジョーイはギリギリまでキノの側に居ようと試みる。
「キノは駅前に住んでるのか」
「うん」
「これからツクモの散歩でもするのか」
「そうだね。きっと待ってると思う」
「そっか。もし盲導犬の訓練で何か手伝えることがあったら言ってくれ」
咄嗟にそんなことを言ってしまったが、ジョーイ自身自分の言葉に驚いていた。
「あ、ありがとう」
「そろそろこの辺でお別れだな。じゃーな」
ジョーイはもう充分だと潔く去ろうとする。
「ジョーイ」
キノは咄嗟に呼び止めた。
ジョーイは振り返る。
「明日午後から、子供達の野球の試合があるの。知り合いが出るんだけどもしよかったら見に来ない? ツクモも盲導犬の訓練として連れて行くつもり」
子供達の野球の試合、知り合いの出場と聞いて、ジョーイは駅前でおばあちゃんを待っていた野球帽を被った男の子を想起した。あの時日曜日にキノと会う約束があるとも言っていたことも同時に思い出す。
『何見てんだよ、バーカ!』
あの言葉も蘇った。
生意気そうなガキだっただけに、どんな試合をするのか興味も湧いてくる。そして何よりまたキノと居られると思うとジョーイは「ああ、行くよ」と笑みを添えて答えていた。
「試合は午後一時からだけど、場所は北口側の向こうにある花園小学校っていうところ。分かる?」
「ああ、分かるよ。それじゃまた明日な」
ジョーイは軽く手を振って連絡橋の階段を下りていった。
キノは暫くその場でジョーイの後姿を深く瞳に捕らえていた。
その油断していた時、キノの鞄から携帯電話の音楽がタイミングよくかかってくる。
キノは渋々、携帯を手に取り、通話ボタンを押した。
キノとはここでお別れだった。
ジョーイはギリギリまでキノの側に居ようと試みる。
「キノは駅前に住んでるのか」
「うん」
「これからツクモの散歩でもするのか」
「そうだね。きっと待ってると思う」
「そっか。もし盲導犬の訓練で何か手伝えることがあったら言ってくれ」
咄嗟にそんなことを言ってしまったが、ジョーイ自身自分の言葉に驚いていた。
「あ、ありがとう」
「そろそろこの辺でお別れだな。じゃーな」
ジョーイはもう充分だと潔く去ろうとする。
「ジョーイ」
キノは咄嗟に呼び止めた。
ジョーイは振り返る。
「明日午後から、子供達の野球の試合があるの。知り合いが出るんだけどもしよかったら見に来ない? ツクモも盲導犬の訓練として連れて行くつもり」
子供達の野球の試合、知り合いの出場と聞いて、ジョーイは駅前でおばあちゃんを待っていた野球帽を被った男の子を想起した。あの時日曜日にキノと会う約束があるとも言っていたことも同時に思い出す。
『何見てんだよ、バーカ!』
あの言葉も蘇った。
生意気そうなガキだっただけに、どんな試合をするのか興味も湧いてくる。そして何よりまたキノと居られると思うとジョーイは「ああ、行くよ」と笑みを添えて答えていた。
「試合は午後一時からだけど、場所は北口側の向こうにある花園小学校っていうところ。分かる?」
「ああ、分かるよ。それじゃまた明日な」
ジョーイは軽く手を振って連絡橋の階段を下りていった。
キノは暫くその場でジョーイの後姿を深く瞳に捕らえていた。
その油断していた時、キノの鞄から携帯電話の音楽がタイミングよくかかってくる。
キノは渋々、携帯を手に取り、通話ボタンを押した。