ロストマーブルズ
「ねぇねぇ、君も両親が国際結婚?」

 トニーが聞くと、女の子は答えにくそうに、とにかく頭を軽く一振りする。

「そっか、まあこの学校に通うくらいだ。バイリンガルは当たり前だし、ハーフも珍しくない」

「あなたは留学生? 日本語上手いのね」

「ああ、ずっと日本のことが好きで小さい頃から勉強してたよ。やっと念願叶ってこっちに来れた。俺はトニー。そしてコイツはジョーイ。あんた、名前は?」

「私はキノ」

「ふーん。キノか。派手な学生が多い中、あんたは結構地味だね。日本生まれの日本育ちハーフ?」

「あっ、その……」

 キノは言葉につまっていた。

「おい、トニー、初対面で失礼だぞ。コイツのことは気にしないでくれ。あんたも結構容姿の事で色々言われるんだろ。俺たち血が交じり合ってると特別な目で見られるもんな。まるで見世物の動物だぜ」

 ジョーイがお仕置きの様にトニーの耳を引っ張った。

「痛てててて」

「別に気にしてません。それよりもビー玉拾って下さってありがとうございました」

「だけどどうしてビー玉なんか持ってるんだ?」

 キノが手にしてる赤い缶に、ジョーイは視線を落とした。
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