ロストマーブルズ
「はい。それは俺の個性として受け止めるようにします。このふてぶてしさも生意気さも俺なんですよ」

「そうね。だけど、確かにジョーイには変化が見られる。何かが起こったんだろうけど、職業柄その原因を私は知りたいんだけどな。ヒントプリーズ」

「先生、なんですかそれ」

「だって、精神科医を飛び越えて、勝手に答え見つけられたら癪じゃない」

 あまりにも子供っぽい答え方をする早川真須美に、ジョーイは呆れてしまった。

 早川真須美は真相を突き止めたくて隙を窺いながらも、他愛もない雑談を進めるが、結局時間切れでこの日のカウンセリングは終わった。

 仕方がないと早川真須美は諦めるが、ジョーイが部屋を出たところでやはり電話を掛け、誰かへの報告は怠らなかった。

 早川真須美もジョーイに対して何かを探るような部分を持っている。

 ジョーイはまだそのことに関しては気がついていなかった。

 その後クリニックを去り、ジョーイは普段と違う気分に包まれたまま色々振り返りながら歩いていた。

 思い出せば思い出すほど、状況がややこしく順序だてて考えられなかったが、重要なことは何かと箇条書きにすれば、
一つはキノと会う約束、
もう一つはトニーとの喧嘩、
最後にギーから出された問題のことに重点が置かれる。

「まずはこれからキノに会うことだ。後はそのときでいい」

 ジョーイの頭の中はキノのことで一杯になっていた。
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