ロストマーブルズ
「よっ、キノ」

「あっ、ジョーイ。来てくれたんだ」

 お互い照れた挨拶を交わしていると、ツクモが「クゥーン」と鼻を鳴らし、尻尾を振りながらジョーイに纏わりついてきた。

「ツクモだったな。初めまして」

 ジョーイが挨拶すると、ツクモは腰を下ろして座り込み「ワン」と一回吼えて挨拶を返す。

「コイツなかなか礼儀正しいじゃないか。かわいいな」

 ジョーイはおもむろに頭を撫ぜた。

 ツクモは満足そうにジョーイを見つめながら、尻尾を忙しく振っていた。

「ツクモ、ジョーイのこと気に入ったみたいだね」

 犬を撫でているジョーイの姿を見つめながら、キノもニコッとして呟いた。

 犬が居るお陰で、ジョーイもキノもなんとか二人して側に居られるという雰囲気だった。

 内心この後どのように過ごせばいいのかわからない。
 まだ恥らった気持ちがお互い抜けないでいた。
 暫くはツクモをダシにして、間を取り繕ってしまう。

 そのツクモが急に他の方向を見て激しく尻尾を振るので、ジョーイも視線を向けると、ユニフォームを着た男の子がこっちに向かって走って来るのが目に入った。
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