ロストマーブルズ
第八章 思いつめた心
1
学校の門を出ると、聡は名残惜しそうにして、何度も振り返りながらキノとの別れを惜しんでいた。
キノはそれに付き合うようにずっと手を振って応えている。
角を曲がって聡の姿が見えなくなると、トートバッグを肩に掛け直してツクモのリードをしっかりと持った。
「どうしたの? ジョーイ、さっきからじっと私を見てるけど、何か顔についてる?」
「えっ、いや、今日は色々とありがとうと思って、その、いつお礼を言えばいいのかと思っていた」
本当は眼鏡が気になって見ていたが、咄嗟に誤魔化してしまう。
それでも楽しかったことには変わりないので、お礼を言いたい気持ちはもちろんあった。
「ううん、こっちこそ付き合ってくれてありがとう。お陰でとても楽しかった」
キノも素直に笑顔を見せてジョーイを見ている。
すっかり距離が縮まり、二人は親密になった──またはまだこれからそうなっていくような予感がする。
その気分に乗せられて、ジョーイは思い切って疑問をぶつける決心がついた。
「なあ、キノ」
「なあに?」
「なんでその眼鏡掛けてるんだ?」
「えっ、これは、その、ファッション」
「はっ?」
「今、黒ぶちの眼鏡って流行ってるんだよ。それにこれを掛けてると少しはハーフっぽい顔が目立たないかなって思って」
「それだけの理由?」
「うん」
もっとすごい理由を期待していただけに、あっさりと返された答えにジョーイは気が抜けてしまった。
キノはそれに付き合うようにずっと手を振って応えている。
角を曲がって聡の姿が見えなくなると、トートバッグを肩に掛け直してツクモのリードをしっかりと持った。
「どうしたの? ジョーイ、さっきからじっと私を見てるけど、何か顔についてる?」
「えっ、いや、今日は色々とありがとうと思って、その、いつお礼を言えばいいのかと思っていた」
本当は眼鏡が気になって見ていたが、咄嗟に誤魔化してしまう。
それでも楽しかったことには変わりないので、お礼を言いたい気持ちはもちろんあった。
「ううん、こっちこそ付き合ってくれてありがとう。お陰でとても楽しかった」
キノも素直に笑顔を見せてジョーイを見ている。
すっかり距離が縮まり、二人は親密になった──またはまだこれからそうなっていくような予感がする。
その気分に乗せられて、ジョーイは思い切って疑問をぶつける決心がついた。
「なあ、キノ」
「なあに?」
「なんでその眼鏡掛けてるんだ?」
「えっ、これは、その、ファッション」
「はっ?」
「今、黒ぶちの眼鏡って流行ってるんだよ。それにこれを掛けてると少しはハーフっぽい顔が目立たないかなって思って」
「それだけの理由?」
「うん」
もっとすごい理由を期待していただけに、あっさりと返された答えにジョーイは気が抜けてしまった。