ロストマーブルズ
「あのさ、聡が色んな言葉話せて、計算や数を数えるのが早いとか言ってたんだけど、それって本当か?」

「日本語、英語は話せるけど、色んな言葉って、グラシアス、ダンケシェーン、メルシー、シェイシェイ、グラッチェとかそういうありがとうっていう言葉程度なら沢山の言葉で言えるくらいかな。計算が早いって小学生の問題程度なら早くしなくっちゃなんか高校生の立つ瀬がないという感じでちょっと聡君の前では無理した」

「だけど落としたカードを一瞬のうちに数えたって言ってたぞ」

「ああ、あのことか。あれは、カードに通し番号が付いてあって、聡君全種類もってたから、最後のカードの数字を言っただけ。それが一瞬にして数えたって思ったみたいで、おかしかった」

「じゃあ、バッティングセンターで150kmの球をバンバン打ったっていうのは?」

「どうしたの? ジョーイ。聡君、何か私のこと言ってたの? さっきから質問ばっかり。でもそれも実はコツがあって、ちょっと訓練したら誰でも打てるようになるの。今じゃ、聡君も打てるよ」

「どうするんだよ」

「本を読むの。速読するというのか、思いっきり目を走らせて字を追っていくの。いつの間にか目にスピードが付いて、早いボールがはっきりと見えてくるんだ。後はそれを打つだけ。ジョーイもやってみて。本当にできるから」

 真相が判れば、謎なんでこんなものだった。
 疑心暗鬼の心は見るもの全てを歪んで見せる。
 
 またアスカという存在に踊らされた自分の思いこみ。
 ジョーイは拍子抜けして、体の力が抜けた。
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