ロストマーブルズ
4
「トニー、こんな時間までどこに行ってたんだ?」
トニーはジョーイに目もくれないで、下を向きながら靴を脱いでいる。
かなりもたついて、どこかふらつき加減で靴紐を解いていた。
立ち上がって家に上がりこんだとたん、よたついて倒れこんだ。
それをとっさにジョーイは受け止めたが、あまりの酒臭さに顔を背け、乱暴に突き放してしまった。
「トニー、酒飲んできたのか」
「ああ、ちょっと同郷の奴と知り合って仲良くなってな、ノリで飲んできたよ」
「おい、未成年だろうが。一体何が起こったんだよ」
「なんだか飲まなくっちゃやってられなくなったんだよ。家にいたらお前のお守りばかりさせられるからな」
「俺のお守りってなんだよ、それ。俺いつからお前にベビーシッターしてもらってたんだよ」
「この家に来たときからだろうが」
「トニー、いい加減にしろ。お前、かなり酔ってるな」
「ああ、酔ってて何が悪い。ジョーイはいいよな。皆から守られて大事にされて。俺なんて親も居ない孤児だぜ。子供の頃は学習障害(ディスレクシア)で文字も碌に読めなくてずっとバカ扱いだった」
「俺が守られて大事にされている? 何言ってんだ。それにトニーの過去のことは知らないが、今じゃ日本語ペラペラじゃないか。学校では人気者で友達も多いじゃないか」
「でも俺はジョーイのベビーシッターさ。腫れ物触るように付き合って、自分の意見も押し殺し、どこに行くこともできない俺の身にもなってくれ」
主張するように訴えるが呂律が回っていない。
トニーはジョーイに目もくれないで、下を向きながら靴を脱いでいる。
かなりもたついて、どこかふらつき加減で靴紐を解いていた。
立ち上がって家に上がりこんだとたん、よたついて倒れこんだ。
それをとっさにジョーイは受け止めたが、あまりの酒臭さに顔を背け、乱暴に突き放してしまった。
「トニー、酒飲んできたのか」
「ああ、ちょっと同郷の奴と知り合って仲良くなってな、ノリで飲んできたよ」
「おい、未成年だろうが。一体何が起こったんだよ」
「なんだか飲まなくっちゃやってられなくなったんだよ。家にいたらお前のお守りばかりさせられるからな」
「俺のお守りってなんだよ、それ。俺いつからお前にベビーシッターしてもらってたんだよ」
「この家に来たときからだろうが」
「トニー、いい加減にしろ。お前、かなり酔ってるな」
「ああ、酔ってて何が悪い。ジョーイはいいよな。皆から守られて大事にされて。俺なんて親も居ない孤児だぜ。子供の頃は学習障害(ディスレクシア)で文字も碌に読めなくてずっとバカ扱いだった」
「俺が守られて大事にされている? 何言ってんだ。それにトニーの過去のことは知らないが、今じゃ日本語ペラペラじゃないか。学校では人気者で友達も多いじゃないか」
「でも俺はジョーイのベビーシッターさ。腫れ物触るように付き合って、自分の意見も押し殺し、どこに行くこともできない俺の身にもなってくれ」
主張するように訴えるが呂律が回っていない。