ロストマーブルズ
「トニー、まだあの時のことを根に持って怒ってるのか。もう気にしてないから。それに俺も悪かった。謝るから、機嫌直してくれよ。ごめん」

 廊下でフラフラになっているトニーの目の前で、ジョーイは頭を下げた。

 トニーは最初きょとんとしていたが、ジョーイが素直に謝ってる姿に目をパチパチとして驚いていた。

「ジョーイ、一体どうしたんだ。お前が謝るなんて」
 ジョーイは驚くトニーの顔を見て笑うと、トニーは一層びっくりして、目を丸くした。

「ジョーイ、お前笑ってるぞ」
「ああ、笑っちゃいけないか」

「オー、ジョーイ」

 トニーは、ジョーイを力強く抱きしめ、キスしそうな勢いで顔をくっつけてすりすりしていた。

「おいっ、それはやめてくれ」
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