ロストマーブルズ
リルはその頃、開いた教室のドアから、そっと中を覗きこんでいた。
眞子が窓際で外を見ながら、携帯電話を耳にあて英語で話している。
入りにくい雰囲気がして、戸口でまごついてしまった。
立ち聞きするつもりはなかったが、断片的に、眞子が話している会話から知ってる単語が聞こえてきた。
なんとなくジョーイについて話しているように思えた。
「あら、何か御用?」
人の気配を感じた眞子は強制的に電話を切り、振り向いた。
訝しげにリルを見て、様子を伺っている。
「あの、忘れ物して」
リルが辺りをキョロキョロと見回せば、部屋の隅にハンカチが落ちていた。
それを拾い、すぐさま教室を去ろうとすると、眞子が話しかけてきた。
「あなたキノとは親しいの?」
「えっ?」
「だって、キノが連れて来たお友達でしょ」
「いえ、友達とまでは…… どっちかって言うとライバルかも」
「ライバル?」
「いえ、なんでもありません」
リルはさっさと部屋から出て行こうとした。
「待って」
眞子は、咄嗟にリルを引き止めた。
眞子が窓際で外を見ながら、携帯電話を耳にあて英語で話している。
入りにくい雰囲気がして、戸口でまごついてしまった。
立ち聞きするつもりはなかったが、断片的に、眞子が話している会話から知ってる単語が聞こえてきた。
なんとなくジョーイについて話しているように思えた。
「あら、何か御用?」
人の気配を感じた眞子は強制的に電話を切り、振り向いた。
訝しげにリルを見て、様子を伺っている。
「あの、忘れ物して」
リルが辺りをキョロキョロと見回せば、部屋の隅にハンカチが落ちていた。
それを拾い、すぐさま教室を去ろうとすると、眞子が話しかけてきた。
「あなたキノとは親しいの?」
「えっ?」
「だって、キノが連れて来たお友達でしょ」
「いえ、友達とまでは…… どっちかって言うとライバルかも」
「ライバル?」
「いえ、なんでもありません」
リルはさっさと部屋から出て行こうとした。
「待って」
眞子は、咄嗟にリルを引き止めた。