ロストマーブルズ
「リル、何してたんだ? 遅いじゃないか」
 
 やっと戻ってきたリルに、ジョーイは愚痴を垂れるも、リルは思いつめたように口を一文字にして、キノだけを見ていた。
 
「キノ、ちょっと話がある」

「どうしたの、リル? 私が無理やりクラブに連れて来たこと怒ってるの?」

「おいおい、とにかく早く帰ろうぜ」

 またよからぬ事が起こる予感がして、ジョーイは二人を引き離そうとした。

「ジョーイ達は先に帰っていて」

 リルはジョーイを突きはね、無理やりキノを引っ張って、連れて行ってしまった。

「おいっ! リル」

 ジョーイの声は届かず、二人は姿を消してしまった。

「女同士の話でもあるんじゃないの?」

 トニーがお気楽に言うも、ジョーイにはそうは思えなかった。
 
「まあ、いいじゃん、帰ろうぜ、ジョーイ」

 トニーはジョーイの肩を抱き、歩き始めた。

 ジョーイも、それに促されて歩くが、なれなれしく寄り添われたトニーの手を思いっきり振り払った。
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