ロストマーブルズ
キノは音楽に気を取られているのか、男が車内を歩いていても気がつかずにじっと動かずドアの附近に立っていた。
「今、前の車両に歩いていった男さ、日本人離れしてるというのか、どこかなんか西洋かぶれしたような奴だったな。読んでた本も洋書だったし。ジョーイはどう感じた?」
トニーはジョーイの様子を伺っていた。
「お前はいちいちうるさいな。昔から何かと周りの人間を観察してはどうでもいいこと並べ立ててくれるよ。よくもまあ、そんなに人のこと見てられるよな」
「俺の性分だからね。ジョーイが無関心過ぎるだけなのさ。だけど今の男さ……」
トニーが何かその後を言いかけると、車内から次に到着する駅の名前がアナウンスされ、かき消された。
電車はホームに入り、乗客は降りる準備に取り掛かり始め、気の早いものはドアの前に立ち始めた。
大概の乗客はここで降り、それぞれの目的地へと乗り換える。
キノも降りる準備を始めて、ドアから少しだけ離れて開くのを待ち構えている様子だった。
ブレーキが徐々にかかり、電車が完全に止まる寸前でトニーも立ち上がり、ドア側へと歩む。
ジョーイもそれに続いた。
「今、前の車両に歩いていった男さ、日本人離れしてるというのか、どこかなんか西洋かぶれしたような奴だったな。読んでた本も洋書だったし。ジョーイはどう感じた?」
トニーはジョーイの様子を伺っていた。
「お前はいちいちうるさいな。昔から何かと周りの人間を観察してはどうでもいいこと並べ立ててくれるよ。よくもまあ、そんなに人のこと見てられるよな」
「俺の性分だからね。ジョーイが無関心過ぎるだけなのさ。だけど今の男さ……」
トニーが何かその後を言いかけると、車内から次に到着する駅の名前がアナウンスされ、かき消された。
電車はホームに入り、乗客は降りる準備に取り掛かり始め、気の早いものはドアの前に立ち始めた。
大概の乗客はここで降り、それぞれの目的地へと乗り換える。
キノも降りる準備を始めて、ドアから少しだけ離れて開くのを待ち構えている様子だった。
ブレーキが徐々にかかり、電車が完全に止まる寸前でトニーも立ち上がり、ドア側へと歩む。
ジョーイもそれに続いた。