ロストマーブルズ

 下駄箱で待っていたジョーイの下に、だるそうにトニーが歩いてきた。

 ジョーイを見るなり、「参った」と頭を掻いて、取り繕っていた。

「シアーズと何喋ってたんだ? もしかして日曜日酒を飲んだことばれてたとか」

「ジョーイ、大きな声で言うなよ。ばれたら停学になるだろうが。違うよ、野暮用さ。眞子ちゃんに現を抜かすなとかな」

 トニーは適当に誤魔化していたが、眞子のことでは嘘ではないのでちょうどいい理由だった。

「なるほど、そっちか。だけどあの白鷺眞子はおっとりしたフリをしてるだけでなんか信用置けないタイプだぞ」

「ジョーイは堅物だから大人の女の魅力がわかんないんだよ」

「まあ問題だけは起こすなよ」

 二人が外に出ると、隣の校舎からキノがリルに追いかけられる形で出てきたのが目に入った。
 
 激しく口論し合い、二人は揉めている。

「やっぱりあいつら喧嘩してたのか」

 ジョーイが呟いた。

「どういうことだ?」

「それがさ……」

 ジョーイはリルの過去の話も含めて、どういう状況かトニーに説明してやった。
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