ロストマーブルズ
第十章 告白と悲しみ
1
トニーにしたら悪気はないのはわかるが、物事には順序というものがある。
いきなりパンドラの箱を開けたら収拾がつかなくなることくらい、わかりそうなのに、それを平然とやってのけるのも、やっぱりトニーならではだった。
詩織はまだ泣き続けている。
ジョーイとキノはどうする事もできずに、側で突っ立っていた。
原因を作ったトニーは、かき回すだけかき回して、この時とばかり、部外者面して逃げてしまった。
トニーを責めても、この状況は変わらないので、ジョーイはなんとかしようと試みた。
「腹が減った。飯でも食いにいかないか」
ジョーイの提案に詩織はかぶりを振る。
「何か食べられる気分じゃない」
「しかし、周りはじろじろ見ていくし、このままここに立ってる訳にもいかないだろ」
ジョーイはじろじろと向けられる好奇心の目に居心地悪かった。
助けを求めるようにキノを見るも、キノも困惑しきっていた。
キノも自分の事で精一杯に、反対に助けて欲しいと、懇願の目をジョーイに向けた。
いつまでこんな調子が続くのか、ジョーイは我慢できなくなって深い溜息を吐いた。
それに詩織は反応し、ゆっくりと顔を上げた。
その後は大雑把に自分の制服の袖で涙を拭った。
以前ジョーイに袖で涙を拭けと言われたように、それは自分で解決するという意味を詩織は込めていた。
いきなりパンドラの箱を開けたら収拾がつかなくなることくらい、わかりそうなのに、それを平然とやってのけるのも、やっぱりトニーならではだった。
詩織はまだ泣き続けている。
ジョーイとキノはどうする事もできずに、側で突っ立っていた。
原因を作ったトニーは、かき回すだけかき回して、この時とばかり、部外者面して逃げてしまった。
トニーを責めても、この状況は変わらないので、ジョーイはなんとかしようと試みた。
「腹が減った。飯でも食いにいかないか」
ジョーイの提案に詩織はかぶりを振る。
「何か食べられる気分じゃない」
「しかし、周りはじろじろ見ていくし、このままここに立ってる訳にもいかないだろ」
ジョーイはじろじろと向けられる好奇心の目に居心地悪かった。
助けを求めるようにキノを見るも、キノも困惑しきっていた。
キノも自分の事で精一杯に、反対に助けて欲しいと、懇願の目をジョーイに向けた。
いつまでこんな調子が続くのか、ジョーイは我慢できなくなって深い溜息を吐いた。
それに詩織は反応し、ゆっくりと顔を上げた。
その後は大雑把に自分の制服の袖で涙を拭った。
以前ジョーイに袖で涙を拭けと言われたように、それは自分で解決するという意味を詩織は込めていた。