ロストマーブルズ
 階段を上り終わり、連絡線を繋ぐ通路を歩いている時だった。

 所々にキオスクや喫茶店、弁当売り場などのちょっとした小売店があり、そこは人がひっきりなしに集まってはせわしなく動いている。

 その慌しい場所に立ち止まっている、二人の女の子たちの姿が目に入った。

 一人はキノだった。
 もう一人は別の制服を着たキノよりも背が高い女の子。

 その女の子はジョーイの位置から後ろ姿しか見えなかったが、向かいにいたキノは、眼鏡の奥から戸惑いの視線を、その女の子に投げかけているように見えた。

 ジョーイは無視できずに、ついキノに足を向けてしまう。

 自分でもなぜそうしたのかわからないまま、上着のポケットに手を突っ込んだ指先は、無意識にビー玉に触れていた。

「おい、キノ…… だったな。ほらこれ、電車の中でも落していたぞ」

 ジョーイがビー玉をキノに差し出した。
 キノが唖然としてジョーイに気を取られた時、側にいた女の子も振り返る。

 突然現れたジョーイに一番驚いたのは、側にいた女の子の方だった。

「やだ、キノちゃん、この人と知り合いだったの?」

 前からジョーイのことを知っているような言い方だった。
 
 ジョーイを見つめる目がキラキラと輝いていた。
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