ロストマーブルズ
3
「どうしたんだ、キノ? あれ、あの犬、ツクモじゃないのか。隣に居る奴は誰だ?」
キノが見ている方向をジョーイも見れば、訓練中と書かれた布をまとったラブラドールの犬と男が前から近づいてくる。
そしてキノの前であざとく立ち止まった。
ツクモもかしこまってその男の隣に座った。
薄暗い電灯に照らされた男の顔は、初めて会った気がしない。
見覚えがある、その男の顔は、ジョーイを睨んでいた。
「キノ、遅いじゃないか。こんな時間まで何をしていたんだ。心配するだろう」
「ごめんなさい」
「ところでその隣に居る奴は誰なんだ?」
知っているくせにわざとらしく訊かれると、キノは目の前の男が憎らしくなった。
「こ、この人は……」
キノが言う前にジョーイが背筋を伸ばし、礼儀正しく自己紹介する。
「俺は、ジョーイといいます」
「キノの友達かね。すまないがキノには近づかないでくれるか。悪い虫がついては困るのでね」
「ノア!」
そんな言い方はやめてと怒りをぶつけたいのに、名前を呼ぶだけしかキノにはできなかった。
「さあキノ、帰ろう」
二人を引き裂こうとする冷たい声だった。
キノが見ている方向をジョーイも見れば、訓練中と書かれた布をまとったラブラドールの犬と男が前から近づいてくる。
そしてキノの前であざとく立ち止まった。
ツクモもかしこまってその男の隣に座った。
薄暗い電灯に照らされた男の顔は、初めて会った気がしない。
見覚えがある、その男の顔は、ジョーイを睨んでいた。
「キノ、遅いじゃないか。こんな時間まで何をしていたんだ。心配するだろう」
「ごめんなさい」
「ところでその隣に居る奴は誰なんだ?」
知っているくせにわざとらしく訊かれると、キノは目の前の男が憎らしくなった。
「こ、この人は……」
キノが言う前にジョーイが背筋を伸ばし、礼儀正しく自己紹介する。
「俺は、ジョーイといいます」
「キノの友達かね。すまないがキノには近づかないでくれるか。悪い虫がついては困るのでね」
「ノア!」
そんな言い方はやめてと怒りをぶつけたいのに、名前を呼ぶだけしかキノにはできなかった。
「さあキノ、帰ろう」
二人を引き裂こうとする冷たい声だった。