ロストマーブルズ
 ジョーイはいつかキノが言ってた言葉を思い出していた。

『私は普通に生まれてきたかった……』

『こんな風に生まれてきたのも意味があるんだって思いたいの』

 キノはジョーイ以上に見かけに対してコンプレックスを抱いていた。

 その影でキノは遺伝子を操作されていたことを気にしていたのだろう。

『私の夢は人の役に立ちたい。自分ができるのなら惜しまずにその力を役に立てたい』

 この言葉がこの時になってジョーイの心に響く。

 自分の運命を受け入れて、キノは生きている。

 ジョーイはそう感じ取った。

 意味がわかった後に見た父親が写っている写真は、物悲しく目に映る。

「だけどなぜ俺は何も知らされずにいるんだ。全てを隠すために家が吹き飛ばされたということなのか? 父親は一体何をしようとしてたんだ。そして居なくなったアスカもまた遺伝子操作をされた子供だったってことなのか?」

 まだまだ分からないことだらけだった。

 また写真を元に戻すが、写真立てには父親と母親が写っている写真を前にして飾っておいた。

 真実と向き合いたい、ただその気持ちを込めて──
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