ロストマーブルズ
「(彼はそんな負の部分の噂を聞いて一人で捜査している。上の者はそれを知っていて好きにさせているんだ。本気に捉えずにただの都市伝説と思う者もいるし、真実を知っているものは絶対に表ざたにならないと分かっているからな。だが、遺伝子操作の件についてはもしもという事がある。その時のためにと、ロバートは研究のためとは言え、人道に外れる行為を悔やみ、良心の呵責から国家と特別な取引をした。真実が漏れたとき、自分が一人で罪を被ると言った。そのためには姿を消し行方不明と世間に知らしめ、できるだけ真実が闇に葬られる形をとったという訳だ。そうすることで、ギーのように疑いを持った人間は、ロバートが主犯者だと思い込むように仕向けたんだ)」

「(国家と取引をしたと言ったが、一体なんのメリットがあるんだ)」

「(それはジョーイとお前の母親を守ることだ)」

「(俺と母さんを守るために。それで離婚して行方不明になっただと)」

「(そうだ。お前をこのことに一切関与させないことにするために、そして父親が何をしていたか、ジョーイの記憶から消すためにもアスカも一緒に姿を消さなくてはならなかった)」

「アスカ!」

 知りたかった情報が飛び出し、ジョーイは叫んでしまう。
 ジョーイの鼓動が早くなり、目を見開いて驚いていた。
< 268 / 320 >

この作品をシェア

pagetop