ロストマーブルズ
「(当時、ジョーイはアスカと英才教育を受けていた。ジョーイの能力も目を見張るものだった。だが、ロバートは自分の息子をこの件から切り離したかったんだ。ジョーイには普通の子供として過ごして欲しかった)」

「(そんな、俺だけが特別扱いだったってことじゃないか)」

 ギーが言っていた事がここでようやく意味を成した。

「(あの時、故意に家を爆発させて全てをリセットさせた。何もかも吹き飛ばすことで、ジョーイの記憶も一緒に吹き飛んだということだ。私も側に居たからあの時のことは良く覚えている。ぬいぐるみを渡したのはこの私だからな)」

 ジョーイはよろよろとよろめき、側にあった椅子に腰を掛けた。

「(それじゃアスカはどこにいるんだよ。ちゃんと生きてるのかよ)」

「(残念ながらアスカは死んだよ。殺されたんだ)」

 シアーズは目を伏せた。

「(どういうことだよ、殺されたって。あの爆発で犠牲になったってことなのか)」

「(そういうことになる)」

「(なぜそこまでしなきゃならなかったんだ)」

 シアーズは急に黙り込んだ。
 まだ何か言えない秘密があるのか、それとも辛くてそれ以上話せないのか、アスカについてはそれまでだと示唆していた。

 ここで黙られては先に進めない。
 ジョーイは質問の内容を変えた。
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