ロストマーブルズ
「(仕方がなかったんだ。FBIのギーがしつこく係わってきた。これ以上キノ達を危険に晒すわけには行かなかったし、ジョーイも巻き込みたくなかった。キノ達は日本を離れるしかなかったんだ。それに彼らにはこれから与えられた使命があるんだ)」

「(なんだよ、それ。結局は生まれる前から全ての人生を決められているんじゃないか。そんなの不公平だ。俺の父は神にでもなったつもりか)」

「(ジョーイ、人生は不公平と感じることがあるかもしれない。だが他のものから見れば羨ましいことだってある。だからそれは自分が納得して受け入れられるかの問題じゃないだろうか。そんなに嘆くな。生きていればいつかキノに会えるときが来る。それはジョーイ次第だと思うが)」

「(もういい。俺帰るよ)」

 悲しみと怒りが同時に現われ、ムカムカと吐き気を催した。

 真実を知ったところでなんの得にもならない。

 キノが目の前から消えるのなら、知らない方がよかったとさえ思える。

 ビー玉の転がった先の結果がこれなのか。

 アスカが消えた時と全く同じだった。

 手当たり次第にそこにあった机や椅子を蹴り飛ばし、ジョーイは部屋を出て行こうとしていた。

「(ジョーイ、サクラは予定では明日帰って来るんだろ。帰ってきたら連絡が欲しいと伝えておいてくれないか)」

 ジョーイの気持ちなどシアーズは無視していた。
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