ロストマーブルズ
 ギーは逃れようとするも、ツクモに容赦なく足をがぶりと噛み付かれ、悲鳴を上げてしまった。

 ジーンズを穿いていたが、分厚いデニムの生地から血が滲んできている。ツクモはそれでも噛むことを止めなかった。

 ギーの動きが封じ込められている間に、二人はガムテープを用いて、ギーを縛り上げた。

「この野郎! さっきはよくもやってくれたな」

 どさくさに紛れて、トニーは数回ボコボコと殴っていた。

 ツクモもまだギーの足を噛んだままだった。

「ツクモ、グッドジョブ」

 ジョーイに止められ、ようやくツクモは落ち着き、また大人しくなっていた。

 ギーはもがいて抵抗し、悪態をついていた。

 煩いので、トニーは口にもガムテープをはってやった。

「(自業自得だ)」

 ギーの目は恨めしく睨んでいたが、自由を奪われて、体をそり返すことくらいしかできなかった。

 その側でツクモが唸りながら、牙を見せると、一瞬にして怯えていた。

 ジョーイは、すでに受話器を取り、警察に連絡をしているところだった。

 その警察も、そんなに待たずにすぐにやってきた。
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