ロストマーブルズ
急いで、ペットショップでドッグフードを買ってきたジョーイは、それをツクモに与えてやった。
目の前に餌があるのに、ツクモはジョーイの命令があるまで口をつけようとしなかった。
ジョーイの様子を常に窺い、判断をジョーイに委ねるように、ツクモはジョーイから片時も離れようとしなかった。
盲導犬の鑑というくらい、ツクモはとても優秀な犬だった。
「ツクモ、好きにしていいんだぞ。お前はまるで家来だな。というより、どうしても盲導犬だからそういう風に訓練されてるんだな。でも”シックレッグス”で足を噛む事まで訓練されてるって、お前本当は何者だよ」
ツクモはあどけなく「ワン」と吼えていた。
昼も過ぎた頃、表で車が停まった気配がして、車のドアの開け閉めの音が聞こえる。
やがて玄関のドアが開き、懐かしい声が家に響き渡った。
「あー、やっと帰ってこれた。疲れた」
サクラだった。
「お帰り、母さん」
「あれ、ジョーイ、学校はどうしたのよ。それにあら、何、その犬?」
まだ何も知らないサクラに、ジョーイは黙って寂しげな瞳を向けるだけだった。
目の前に餌があるのに、ツクモはジョーイの命令があるまで口をつけようとしなかった。
ジョーイの様子を常に窺い、判断をジョーイに委ねるように、ツクモはジョーイから片時も離れようとしなかった。
盲導犬の鑑というくらい、ツクモはとても優秀な犬だった。
「ツクモ、好きにしていいんだぞ。お前はまるで家来だな。というより、どうしても盲導犬だからそういう風に訓練されてるんだな。でも”シックレッグス”で足を噛む事まで訓練されてるって、お前本当は何者だよ」
ツクモはあどけなく「ワン」と吼えていた。
昼も過ぎた頃、表で車が停まった気配がして、車のドアの開け閉めの音が聞こえる。
やがて玄関のドアが開き、懐かしい声が家に響き渡った。
「あー、やっと帰ってこれた。疲れた」
サクラだった。
「お帰り、母さん」
「あれ、ジョーイ、学校はどうしたのよ。それにあら、何、その犬?」
まだ何も知らないサクラに、ジョーイは黙って寂しげな瞳を向けるだけだった。