ロストマーブルズ
5
曲がる道、入り込んでいく場所、分かれ道があれば、ツクモは一度止まり、ジョーイにあどけない瞳を向けて確認を取っていた。
あまりにも自然な意思疎通。
ツクモの中には人間が入っているのではないかと疑うくらい、ツクモのコミュニケーションの高さに驚かされる。
思わずツクモの背中にファスナーがないかジョーイは確かめてしまうほどだった。
またツクモが振り向き、真ん丸い双眸を向けてジョーイを見つめる。
ジョーイが同じように見つめ返せば、言葉を話しそうに瞳を輝かせていた。
焦る気持ちをなだめるように、この先にすべての答えが待っていると教えるように、ツクモは何度もジョーイを振り返りながら、先を進む。
行くべき場所がわかって、ツクモはそこを目指して確実にジョーイを案内していた。
この先に何が待っているのか。
それがビー玉の最終地点のゴールになるのか。
そして、そこにアスカがいるとでもいうのだろうか。
ジョーイの体に力が入り、足のつま先までそれはピンとつっぱっていく。
体内ではドキドキと落ちつかないまでに、熱いものが激しく脈打っていた。
交通も人通りも激しい駅前に来ると、今度は北側へとツクモは進んでいく。
その時、ちょうど小学校の下校途中の時間帯と重なった。
ランドセルを背負った小学生が、すれ違いざまにぬいぐるみを咥えているツクモを好奇心の目で見ていた。
触りたそうにする子もいたが、ジョーイは時間を取られるのが嫌で、小学生たちの中を突き切るように進む。
子供たちの波は収まらず、前方からひっきりなしにどんどんと歩いてきて、益々数が増えていく。
そうしているうちに、日曜日に野球の試合を見に来た花園小学校が近づいてきた。
その時、ツクモの足取りが速くなり、リズムを帯びて進みだした。
その変化はジョーイの期待を膨らませていく。
だが、何かが起こるのではと気持ちが高まったその直後、ツクモは小学校の門の前に来ると、突然歩みをやめ、その後は座り込んでしまった。
「おい、ツクモ、どうした。ここは小学校だぞ」
学校から溢れんばかりの小学生達が湧き出るように下校してくる。
門の傍で座り込んでいるツクモを目ざとく見つけ、次々と寄ってくるから、ジョーイは子供たちに取り囲まれてしまった。
ツクモは黙ってぬいぐるみを咥えたまま、行儀よくお座りをしている中、子供たちは、誰もが可愛いと言って、ツクモの頭や体をそうするのが当たり前のように撫ぜていた。
ジョーイに無遠慮に話しかける子供もいて、期待が高まっているジョーイにはそれらが異物のようにわずらわしかった。
だが、ツクモは子供たちに触られるがままに、微動だにせずじっと前を見据えていた。
あまりにも自然な意思疎通。
ツクモの中には人間が入っているのではないかと疑うくらい、ツクモのコミュニケーションの高さに驚かされる。
思わずツクモの背中にファスナーがないかジョーイは確かめてしまうほどだった。
またツクモが振り向き、真ん丸い双眸を向けてジョーイを見つめる。
ジョーイが同じように見つめ返せば、言葉を話しそうに瞳を輝かせていた。
焦る気持ちをなだめるように、この先にすべての答えが待っていると教えるように、ツクモは何度もジョーイを振り返りながら、先を進む。
行くべき場所がわかって、ツクモはそこを目指して確実にジョーイを案内していた。
この先に何が待っているのか。
それがビー玉の最終地点のゴールになるのか。
そして、そこにアスカがいるとでもいうのだろうか。
ジョーイの体に力が入り、足のつま先までそれはピンとつっぱっていく。
体内ではドキドキと落ちつかないまでに、熱いものが激しく脈打っていた。
交通も人通りも激しい駅前に来ると、今度は北側へとツクモは進んでいく。
その時、ちょうど小学校の下校途中の時間帯と重なった。
ランドセルを背負った小学生が、すれ違いざまにぬいぐるみを咥えているツクモを好奇心の目で見ていた。
触りたそうにする子もいたが、ジョーイは時間を取られるのが嫌で、小学生たちの中を突き切るように進む。
子供たちの波は収まらず、前方からひっきりなしにどんどんと歩いてきて、益々数が増えていく。
そうしているうちに、日曜日に野球の試合を見に来た花園小学校が近づいてきた。
その時、ツクモの足取りが速くなり、リズムを帯びて進みだした。
その変化はジョーイの期待を膨らませていく。
だが、何かが起こるのではと気持ちが高まったその直後、ツクモは小学校の門の前に来ると、突然歩みをやめ、その後は座り込んでしまった。
「おい、ツクモ、どうした。ここは小学校だぞ」
学校から溢れんばかりの小学生達が湧き出るように下校してくる。
門の傍で座り込んでいるツクモを目ざとく見つけ、次々と寄ってくるから、ジョーイは子供たちに取り囲まれてしまった。
ツクモは黙ってぬいぐるみを咥えたまま、行儀よくお座りをしている中、子供たちは、誰もが可愛いと言って、ツクモの頭や体をそうするのが当たり前のように撫ぜていた。
ジョーイに無遠慮に話しかける子供もいて、期待が高まっているジョーイにはそれらが異物のようにわずらわしかった。
だが、ツクモは子供たちに触られるがままに、微動だにせずじっと前を見据えていた。