ロストマーブルズ
「(私、ジョーイが大好きだった。もう会えないなんて)」

「(またいつか違った形で会えるかもしれないじゃないか)」

「(アスカとして会えないのが悲しい。その時は名前が変わって違う人になってるはず。だけど会えるのならやっぱりアスカだって思って欲しい)」

「(ジョーイの前ではアスカとしては名乗れないし、真実は隠さなければならない)」

「(わかってる。だからアスカは今から死ぬのよ。おじさんも早くここから出て行って。私アスカを殺さなくっちゃ)」

 やるせない思いに押しつぶされそうになりながら、アスカを自分で殺すと宣言することで割り切ろうとしている。

 シアーズは、こんな小さな子も助けられない自分の無力さを嘆き、渡された縫いぐるみを持つ手に力が入った。

 どうする事もできずに背を向けて家を出て行く。

 アスカはその姿を見ていたのだろう。

 不快感がチリチリと背中を伝わっていた。

 そしてその後に家が爆発した。
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