ロストマーブルズ
 何もすることがなく、頭の中だけはフルに回転するが、ふとどうしてキノが気になるのか疑問になる。

 ビー玉が駅のホームで転がったことがジョーイには脳にこびりつく程、それは衝撃を与えられた。


 アスカ──。

 目の前で突然いなくなった女の子。
 過去にビー玉で一緒に遊んだ記憶。
 アスカもビー玉が好きだった。
 何かが引っかかる。

 キノと出会ったことが、アスカの記憶を無理にこじ開けようとする。

 もしアスカが生きていたら、キノと同じ年頃じゃないだろうか。

 ジョーイははっとした。

 自分はキノにアスカを重ねている。
 まさかキノが、アスカ……

 ふと安易に結び付けてしまったが、ジョーイはありえないと口元を少し上げ嘲笑しながらも、急にそう思いたい衝動に駆られる。

 ずっとずっと気になっていたこと。

 なぜアスカは目の前で消えて、家が吹っ飛んだのか。
 それともアスカは自分の作り出したイマジネーションなのか。

 そしてその頃から目まぐるしく物事が変化しだした。
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