ロストマーブルズ
4
「いろいろなことが起こりすぎだ」
ジョーイは愚痴を心に収めて置けなくなるほど、ポロっとこぼしてしまう。
荒波に飲まれて、さらに渦に引き込まれたような気分で、ぐるぐるめまぐるしい。
そのうち大きな鯨が現れて飲み込まれるんじゃないかと、まだ何か起こりそうな予感までしていた。
どっと疲れて、足を引きずるように気だるく歩いてしまう程だった。
駅のホームへ続く階段を降りれば、金髪の頭が目立つトニーの姿を見つけた。
通勤、通学ラッシュで人がホームに溢れていても、あの髪の色のお蔭ですぐに目に付いた。
まだ向こうはジョーイに気がついてないので、混雑している乗客を隠れ蓑に、後ろからそっと近づいて驚かせてやろうと、ジョーイは邪悪に近づく。
ちょうどそのいたずらを仕掛ける一歩手前で、突然トニーの携帯が鳴り、腰を折られてしまった。
トニーが通話をしている間、ジョーイは仕方がないと黙ってチャンスを伺っていた。
電話に気を取られ、近くにジョーイがいることにまだ気がついていないトニーは、英語で誰にも気兼ねなく会話をしている。
ジョーイは知らずとトニーの話を盗み聞きしてしまった。
「(はい。今帰る途中で、電車を待ってるところです。ジョーイは先に家に帰ってます。……はい。わかってます。大丈夫です。……別に不審な動きはありません。……はい、わかりました。そのときはすぐに報告します)」
トニーのいつになくまじめな態度。
そして意味ありげな会話。
ジョーイは聞いてしまったことを後悔した。
ジョーイはトニーに近づくのを止め、違う車両の位置へと向かった。
トニーと話していた人物は一体誰だ。
内容からしてジョーイの存在のことも知っている。
そして不審な動きという謎めいた言葉が心をざわつかせる。
トニーは一体誰と何の話をしていたのだろう。
まさに今まで見たこともない一面だった。
ジョーイは愚痴を心に収めて置けなくなるほど、ポロっとこぼしてしまう。
荒波に飲まれて、さらに渦に引き込まれたような気分で、ぐるぐるめまぐるしい。
そのうち大きな鯨が現れて飲み込まれるんじゃないかと、まだ何か起こりそうな予感までしていた。
どっと疲れて、足を引きずるように気だるく歩いてしまう程だった。
駅のホームへ続く階段を降りれば、金髪の頭が目立つトニーの姿を見つけた。
通勤、通学ラッシュで人がホームに溢れていても、あの髪の色のお蔭ですぐに目に付いた。
まだ向こうはジョーイに気がついてないので、混雑している乗客を隠れ蓑に、後ろからそっと近づいて驚かせてやろうと、ジョーイは邪悪に近づく。
ちょうどそのいたずらを仕掛ける一歩手前で、突然トニーの携帯が鳴り、腰を折られてしまった。
トニーが通話をしている間、ジョーイは仕方がないと黙ってチャンスを伺っていた。
電話に気を取られ、近くにジョーイがいることにまだ気がついていないトニーは、英語で誰にも気兼ねなく会話をしている。
ジョーイは知らずとトニーの話を盗み聞きしてしまった。
「(はい。今帰る途中で、電車を待ってるところです。ジョーイは先に家に帰ってます。……はい。わかってます。大丈夫です。……別に不審な動きはありません。……はい、わかりました。そのときはすぐに報告します)」
トニーのいつになくまじめな態度。
そして意味ありげな会話。
ジョーイは聞いてしまったことを後悔した。
ジョーイはトニーに近づくのを止め、違う車両の位置へと向かった。
トニーと話していた人物は一体誰だ。
内容からしてジョーイの存在のことも知っている。
そして不審な動きという謎めいた言葉が心をざわつかせる。
トニーは一体誰と何の話をしていたのだろう。
まさに今まで見たこともない一面だった。