(仮題)魔女のいるファンタジー
 人を愛せるのに愛したくないリイとユリ。

 人を愛したいのに愛せない、僕。


 そして。

 人として修復不能に壊れてしまって、愛することも、愛されることも、人の心というものがわからなくなってしまった【昏冥の魔女】。


 僕たちは本当は少しも似ていないのに、堪らなくそっくりな気がして、だからこそ昏冥の幻想に惑わされ身を寄せ合った。

 彼の魔女に惹かれるようにして。


 それは魔女が悪魔の愛を得てしまうまでの、今となっては幻のひとときでしかなかったけれど。
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