(仮題)魔女のいるファンタジー
「ごめん、俺は無理」
 切実なる少女の願いに無情にも即答したのは魔鏡さんだった。

「ええっ?」
 僕は魔鏡さんを唖然として見た。

「アナタ、ネットの囚人こと暇人じゃあ?」

「囚人は囚人でも、俺ってば『ネットの』が付かない囚われビトだからね」

「って、犯罪者ってコトですか!?」

 僕はさすがに仰天した。
 さもありなん、という気もするけれど。

「まー犯罪者ってのは合ってるけど──」

 しかも否定しないよこの人!

 オレンジ色のハイセンスなコートに身を包んだ美人は、ポケットから手を出して、クイっと頭上を指さした。
 肘から垂れ下がったベルトがゆらゆら揺れる。

「【上】には行けない、ってのが理由。俺がいるのって【下】なんだわ」
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