(仮題)魔女のいるファンタジー
 サークレットをつけて目を閉じるだけ。

 あとは視界に浮かんできた画面に従って、自分のパソコンからネットに接続すれば──それだけで、そこには夢の世界が広がる。

 ま、その結果──僕みたいな人種が台頭することにもなったんだろうけれど。

「このネットの虫が」

 魔鏡さん曰く、「ネットの囚人」か。

「アノンこそ、こんな夜に何の用だよ。夜這いか?」

 がん、と勢いよく膝の後ろを蹴られて、僕は絨毯の上に転がった。

「アホ。婚約者どのもたまには人に会わねえと、と思って話し相手になりに来てやったんじゃねえか」
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