(仮題)魔女のいるファンタジー
 ネットを利用した他のロールプレイングゲームなどとの、決定的な違い。

 それは夢界では実際にお金のやり取りが行われている、という点だ。

 例えば、夢界の中で誰かが暮らす住居をデザインして提供したり。

 或いは誰かが身につける服や小物をデザインして、夢界のお店でそれを売ったり。
 夢界の中でメールや電話ができる──「携帯電話」という小物や、腕時計なんて小物も、誰かがデザインしたものだ。

 無論、バーチャルの世界で建物や小物をデザインし、構築して具現化させるには、脳内に特別な思考プログラムを有し、それを使いこなせるスキルが必要不可欠となる。
 思考プログラムの習得には、それなりの費用と専門の勉強が必要なもので、誰もが作れるというわけではない。

 だからこそ、商売として成立するということだろう。

 夢界ではネット銀行の口座振り込みを使って、リアルの世界よりは安い金額で、そういった金品の取り引きが盛んに行われている。

 中には商売で大成功して、夢界の収入だけで生活している人たちも少なくはない。

 夢界とはまさに、第二の人生を楽しめる場所なのだ。
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