(仮題)魔女のいるファンタジー
「夢界って──こんな時間に学校なんてねーだろ」

 アノンが可愛らしい仕草で首を傾げた。
 長い銀色の髪の毛が、さらさらと肩からこぼれ落ちる。

 夢界にある学校では、現実世界よりは安い費用で、現実世界の学校と同じように勉強を教えたりなんて商売も存在している。

 さっきまで僕がいた環同高もその一つ。

 僕のような引きこもりや、これまたルリーダ王国で最近問題の不登校、そんな学生でも、夢界の学校ならば通えるとあって、ナカナカ好評なアイディア商売だ。

「お前、夢界には勉強するために登録したんじゃなかったのかよ」

 そう、登録。
 バーチャルリアリティの町で住人となるためには、【登録】をしなければならない。

 ルリーダではこの登録に、二十歳以下の未成年者は保護者の承認が必要なのだ。

 当然、王子様であっても例外ではない。

 僕は夢の世界の居住権を得るため、名目上は「学校に行く」という理由で、父上母上から許可をいただいた。
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