もっと笑って、私の初恋。
「おっす!遅れてわりい」
ドアを勢いよく開け、泥だらけのユニフォームを着た、汗臭そうな男子が大声で言った。
「えっ?」
麻美は彼が図書委員とはどうしても思えず、しばし仰天した目で彼を見つめた。
「や、図書委員でしょ?今日掃除ってわかってたけど、試合前で、なかなか折り合いつけらんなくて、わりいね」
「ああ、図書委員だったんだ。私、小賀麻美。よろしくね。もう掃除終わったから」
「え、えー!やけに早いな。もう一人は?」
「まだ来ない。忘れてるのか、休みなのか」
会話している間に彼は書棚に雑然と置かれている本を整え始めた。麻美は本の整理を忘れていたことに気づき、慌てて一緒に整え始めた。
「いいって。俺がやっとくから。」
そう言いながら、ものすごい早さで彼は本を整えている。麻美は彼の後ろの棚の本を遅れないように整えた。
急に図書室のドアが開いたと同時に図書委員担当の山嵐こと前田先生が大きな声で言った。
「ほら、もうあと10分ぐらいで朝礼だから、早く終わらせて」
「はーい!」
残り棚一列だったが、先生も手伝い三人で急いで整え何とか終わらせた。
来なかった一人は、休むことを先生に言ってなかったらしく、慌てて連絡が来たとの事。
図書室から出る時、麻美はようやく彼と自己紹介をしあうことができた。
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