悪い女ほど美しい
「髪型変えた?ママまたかわいくなってる!」

ママと呼ばれることに最近やっと馴れてきた。娘は9ヶ月になったところだ。

主人とは結婚して3年目。
結婚して半年で子供を授かって、親子3人何不自由なく幸せに暮らしている。

初めての育児は大変だけど、娘はかわいい。主人も、ルックスはそこそこだが、日本人で知らない人はいないほどの大企業に勤めている。当然収入も平均よりは高い。リストラの心配もまずないだろう。

出会ったのは結婚する二年前、主人の勤める会社に私が派遣社員として入社したのだ。

天は二物を与えずとはよくいったもので、神様が私に与えてくれたのは、誰からも好まれる顔だけだった。
いつしか、大企業の正社員のお嫁さんになることが目標になっていた。そのために、美容にも気を使ったし、料理も勉強した。

男性が好むメニューから、健康に気を使ったメニュー、彩りや品数にもこだわった料理を作れるまでになった。

本能的に、男性に好かれるしぐさや言葉遣い、行動などを理解し、計算高く生きた20代だった。

そんな私でも、主人に出会って、この人しかいないと瞬間的に感じるものがあった。

けれど、妊娠して会社を退職して、完全に社会から切り離された生活を送る今の私には、主人が輝いて見えた。
その反面、自分がどんどんくすんでいくような感覚があった。

そんな不安がじわじわと大きく深くなっていって、私はついに、外に救いを求めるようになった。
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