秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「帰らせない」
「でも……私、邪魔ですから」
「明日の準備は終わってる。これからは悠里が俺を癒やす時間だ」
私が彼を癒やすなんて、本当にできるの?
「伊吹さん……」
「今日は心配でたまらなかった。悠里の不安そうな顔が頭から離れなかった」
彼は不意に私の腕を強く引き、腕の中に閉じ込めた。
聡さんが『テンパってた』なんて言っていたけど、あれは本当だったのかな……。
「俺をこんなにハラハラさせるのは、お前だけだ」
「ごめんなさい」
私が思わず謝ると「違う」と彼はつぶやく。
「ホントは悠里がひとり立ちしていくのが寂しい。上司失格だとわかっていても……」
『ひとり立ち』なんてまだまだだ。
私はやっぱり秘書の秘書、のような存在だし、伊吹さんや聡さんに助けられてばかり。