秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

それからすぐに上がり彼に借りたダボタボのジャージを着ると、洗面台の前で髪を乾かし始めた。

私、どうしてここでお風呂に入ってるんだろう。

冷静に考えると、彼氏でもない人の部屋でこんなことしてるなんてあり得ないのに、伊吹さんの話術が巧みなせいか、当たり前のことをしているだけのように感じてしまう。

そんなことを考えていると、再び彼が顔を出した。


「こっちにこい」

「もう少しで乾きますから」

「いいから」


彼は少し強引に私を引っ張り、ドライヤーも持ってリビングに向かった。


「乾かしてやる」

「あっ、いいですよ!」


今日は体調も悪くない。
そんなことをしてもらうのは申し訳ないと思ったけれど……。


「俺がやりたいんだ。文句あるのか?」

「いえ……文句なんて」


あっても言えません。


「お前は俺に甘やかされていればいいんだよ」


背筋がビシッと伸びた後だったのに、そんな甘い言葉を向けられて、たじろいでしまう。


「それに、好きな女は甘やかしたい」
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