秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
低い声で耳元で囁かれると、ゾクッとした感覚が体を走り抜ける。
それ以降、もちろん反論できなくなった私は彼に身を委ねた。
「いい匂いだ」
乾かし終わった彼は私の髪を一束手に取り、香りを嗅いでいる。
艶っぽい彼の声色に、目を白黒させてしまう私は、なんと言っていいのかわからなくなってしまった。
「覚悟、できたか?」
「覚悟って、なんの、ですか?」
「俺に抱かれる、覚悟だ」
ん!!
その発言に驚きすぎて、すごい勢いで離れると「チッ」と舌打ちした彼は、「全力で拒否するな」と私をにらむ。
「すみません……」
そんなこと言ったって。
抱かれる前に、"付き合う"が先でしょう?
まぁ、順序が逆なこともなくはないだろうけど……。
たしかに彼が私に向けてくれる愛情は十分すぎるほど感じているけれど、紳の裏切りのこともあって、やっぱり簡単には一線を越えられない。