秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
私の意見なんてまったく聞くことなく一緒のベッドで寝かせておいて、それでも一応控えめに遠慮してくれているのだと思うと、ちょっとおかしい。
「はい」
額にキスまでされておきながら、手をつなぐという高校生のような行為ですら照れてしまうけれど、イヤではなかった。
ただちょっとドキドキしすぎて眠れるか心配だ。
それからすぐに彼の寝息が聞こえてきた。
やっぱり疲れているんだ。
「伊吹、さん……」
無性に名前を呼びたくなったのは、毎日毎日気を抜くことなく働いている彼を癒やしたいから。
私に彼の癒やしになれるのかどうかわからないけど、彼が求めてくれるなら、そばにいたい。
私は彼の手をギュッと握り返した。