秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
過去との決別
次の日の朝、家まで送ってくれた彼に、一旦家に上がってもらった。
「早めに荷物まとめろよ」
「えっと……本気、ですか?」
本気で一緒に住むつもり?
彼の部屋がふたりで暮らすのに充分な広さだとわかったけれど、食事を作りに行くだけでもいいような……。
そもそも、恋人という訳でもないふたりが、同じ屋根の下で暮らすって変じゃない?
「俺がいい加減な気持ちでそんなことを言っているように見えるか?」
「み、見えません」
彼の溺愛っぷりに驚いているくらいだから、本気なのはわかっている。
でも……。
「お前は俺に愛されていればいいんだ」
私の顎に手をかけた彼が少し潤んだ瞳を向けるから、息をするのも忘れそうになる。
「返事は?」
「……はい」
なんだか強制された気がしなくもないけれど、もっと彼のことを知りたいような気もする。