秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

それに、心配されたり心配したりする人がいるのは、生活に彩りが生まれる。


「引越し屋の手配もすぐにするぞ」


その決断力は、仕事のときの彼を彷彿とさせる。


今晩は聡さんに接待が入っている。
それに同行する彼とは一緒にはいられない。


「そろそろ行こう。今日も忙しい」

「はい」


着替えを済ませた私が玄関で待つ彼に駆け寄ると、突然腰を抱かれ、強く抱き寄せられた。


「あっ……」

「これで一日頑張れる」


冷酷な上司がこんなに甘い人だなんて、おそらく誰も知らないだろう。
私だって意外過ぎてびっくりだった。


それでも会社に行くと彼は別の顔を持っている。


「広瀬、俺が帰ってくるまでにこの資料を集めておけ」

「わかりました」


来週の会議のための資料集めを依頼された私は、それからしばらくその仕事に没頭した。
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