秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
ひと足先に戻っていた伊吹さんは、首をかしげる。
「はい。午後にいらっしゃる商社の専務は、最近お孫さんがお生まれになったはずです。社長が面会できないお詫びも兼ねて……手土産に追加してはどうかと思いまして」
買ってきたものを伊吹さんに差し出した。
「なんだこれ」
「はい。スタイと靴下のセットです。すごくかわいいのできっと喜んでいただけるとかと」
「なるほど」
出過ぎた真似かと心配したけれど、伊吹さんは満足そうにうなずいてくれた。
「なかなかわかるようになってきたな」
「ありがとうございます」
一気に気持ちが持ち上がる。
伊吹さんに褒められると、こんなにもうれしい。
「そんなに急いでひとり立ちするなよ」
「えっ……」
私の耳元でボソリとつぶやいた彼は、再び秘書室を出ていった。